理系オタクが適当に感情を吐露するブログ

化学メーカーで働いています。理系オタクの独り言ブログです。半分は日記、半分は資産運用の話。

大学院生の待遇が改善される見込みってあるのかな

暇だったのでブログを作ってみました。ぼちぼち更新していきます。

 

さて、さっそく本題ですが、

最近、大学の授業料を免除する新制度について大学院生が対象外となっていることが話題になりました。文科省の論理性のないQ&Aなどのツッコミどころはあるものの、今回書く内容は新制度の是非とかではないです。

 

この手の話題が出るたびに、大学院生の待遇の悪さについてあちこちから意見が聞こえてくるので、流れに乗って自分の意見を書いてみようと思います。オタクはすぐ自分語りをする。(初めての記事なのに内容が重い…)

 

 

・大学院生の待遇は不当か?

 これは多くの現役院生が感じているように、はっきり言って不当だと思います。特に独立家計の院生(主に博士課程の学生)は生活保護レベルの暮らしをしています。私の周りの博士課程進学者は、思考力・人間性含め優秀な人ばかりでしたので、彼らが冷遇されている状況は見ていてつらいです。

こうした感情の根源をたどってみると、就職した同期と比べてしまうからというのが大きな原因の一つと言えそうです。大学卒業ともなれば同世代の友人の多くは就職し、安定した収入を得ています。かたや自分は朝から晩まで研究に打ち込み、作業量や拘束時間は就職した同期たちと同等以上でも、親の脛をかじるか生活保護レベルの生活かなので、当然の感情だと思います。

また、昨今の研究室事情として、国の予算削減、外部資金獲得の推進、実験装置の高度化などの要因から、より多くの資金を大学・各研究室は獲得しなけらばならなくなっています。一方で、教授をはじめとするスタッフ陣は膨大な事務作業や発表準備に追われており、実際に実験を行うのには院生が大きな役割を担っています。ですが、あくまで院生は学費を払って学ぶ立場であり、指導の域を超えて研究成果を求められるのは筋が通らないと感じます。企業でいえば、平社員に給料を払っていないようなものなので。

 

・どう解決すればいいの?

冷遇されて黙ってるわけにもいかない。ましてや世は大インターネット時代。誰でも手軽に意見を発信できる時代ですから、冒頭に述べたように色々な意見が聞こえてきます。

 

「金を寄越せ。」

 

要するにこれです。お金がもらえるようになれば万事解決。インターネット上で私が目にした彼らの主張をまとめると以下のようになります。

 

 ―科学技術の発展は国の発展の原動力である。

 ―大学は新しい科学分野を開拓したり科学技術の基礎を生み出す研究機関である。

 ―大学の研究活動を支えているのは大学院生である。

 ―最先端の研究には高度な専門知識や思考力が求められる。

 ―以上の点から、大学院生を冷遇すると優秀な人材が大学から流出する。

 ―研究成果が落ち込み、国が衰退する。みんな貧しくなる。

 

基本路線はこんな感じでしょうか。私も概ねこうした意見に賛成です。こうなると焦点は科研費に加え院生に報酬を支払う余力が国にあるか、主権者たる国民の支持を得られるか、ということになってきます。

 

 

・財源の確保は可能か?

最新のデータではないですが、文部科学省の統計によれば、平成28年5月1日現在、修士課程には159,114人、博士課程には73,851人が在籍しています。簡単にそれぞれ16万人、7万人として、それぞれに月々10万、20万を支給するという手厚い支援を考えた場合、3,600億円という莫大なお金がかかります。さすがにこれは現実的ではないので、まずは授業料無償化が妥当なところでしょうか。国立大の年間授業料をざっくり60万円とすると、それでも1,380億円かかります。実際には授業料を全額払っていない人も多いですからもう少し低くなりそうですが、結構な金額です。

 

(んー、ここまで書いてきてもう無理な気がした…そもそもこの問題けっこう議論されているし、ちょっと考えて良い策が浮かぶならとっくに実現しているのでは??)

 

国家予算はパイの奪い合い。例えば社会保障をさらに削減して研究費を増やそうものなら、理解を得るのは難しいのではないでしょうか。そもそも大学院生なんて同世代のうちの1%程度のマイノリティなので、いくら主張が正しくても世論を動かすには力不足な気がします。

現実的に動くならば、味方を増やす必要があると考えました。敵の敵は味方。次世代への投資というくくりで共闘し、「子育て・教育支援の拡充」とでも銘打って、この目的に絞った兆単位の予算を新設し、その支援策の中に大学院生への支援を紛れこませる。つたない意見ですが、いわゆる政治的な駆け引きも含めて案を提示していくフェーズにあるのかなと思っています。

書くのがつらくなってきたので、ひとまず結論としておきます。

 

 

 ・ところで本当に大学での研究は必要なのか?

最後に。これに関しては完全にYesと言える自信はありません。ただ、この前提をクリアしないと院生の待遇を改善すべきという主張は意味をなさなくなってしまいます。一つだけ言えるのは、現時点で役に立つとわかっているならビジネスになっているはずだし、逆に言えば革新的な発見を追い求めるのは一企業にはリスクが高すぎてできないということです。科学の進歩が人々の暮らしを豊かにしてきたのは歴史が証明しているし、これからもそうであることを信じて社会全体で科学を支える仕組みを作っていかなければいけないなと思います。

 

おしまい。