理系オタクが適当に感情を吐露するブログ

化学メーカーで働いています。理系オタクの独り言ブログです。半分は日記、半分は資産運用の話。

PDCAの渦に巻き込まれると感情が消失する

上司との仕事の進め方に対する感覚の違いに苦しむ毎日を送っていますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。ところで毎回ブログを書くときに書き出しに迷うのですが、テンプレート化したほうがいいですかね。

最近はチーム4人のうち1人が育休を取っています。地獄のような毎日ですが案外なんとかなっています。今の業務負荷が続いたらプライベートが破壊されてしまうので仕事辞めます。というのは冗談ですが、業務内容が変わった今年度になって本当に仕事が楽しくなくなりました。

業務量が増える→付随する単純作業(書類作成, データ整理)が増える→考える時間が減る→アウトプットの質が低下し仕事が増える

という負のスパイラルが止まりません。アクションを定めて仕事を動かすことが自己目的化しており、課題の解決にはちっとも近づいていない某案件があるのですが、上司が仕事の内容まで細かく指示してくるんですよね (しかも分量が異常に多い!そして内容が薄い!)。一方で、「こういう案件があるんだけど、こういう目的だから検討進めておいてくれない?」と上司が雑に投げてきた仕事は順調に進んでいます。仕事の難易度の差こそあれ、マネージャーが細かい仕事の内容にまで口を出す必要があるんですかね?ブログで愚痴っていないで本人と議論しろというご指摘はもっともなので、次の面談で相談します。

強引に今日の主題に話を持っていくのですが、つまらない仕事といったときに真っ先に思い浮かぶのがPDCAです。もっと正確に言うとPDCAの間違った使い方をしている連中の悪口です。PDCAは広く知られているので今更説明するまでもありませんが、Plan, Delay, Cancel, Apologizeのアレです。

PDCAというと思い出すのが、私が就活で某大手化学メーカーの事業所見学に行ったときに何人かの社員の方が仕事紹介をしてくれたことです。研究、生技、品管といった仕事内容までは忘れてしまったのですが、結構ベテランの社員の皆さんが「仕事で大事なのはPDCAです」と口を揃えて言うんですよね。当時の私は何となく違和感を覚えて会社に対する印象もあまり良くなかったのですが、そのあと最終面接まで進み(内々定ゼロだったにもかかわらず)面接官に対して失礼な発言をしてしまい落とされたのは今となってはいい思い出です。当時の私にはその違和感を言語化することができなかったのですが、今ならもう少し明確化できます。

元々PDCAは品質管理の分野から出てきた概念であり、研究開発の場ではあまり役に立ちません。ところが新入社員研修で「PDCAを回せるようになりましょうね~」などと外部講師が教えるので、日本全体に蔓延ってしまったというのが私の見解です。新卒一括採用、一斉研修とかいう本当にしょうもない文化。日本経済が停滞する諸悪の根源の1つといって過言ではない。とはいっても、ある側面では新入社員にPDCAを推奨するのも理解できます。PDCAレベルのことができないと安心して仕事を振れず戦力にすらならないので、早く一人前に仕事してくださいねくらいのメッセージだと受け取りましょう。話を戻すと、PDCAが効果を発揮するのはまさしく品質管理のような「継続的な改善」を求められる場です。メーカーにおける製造や品質管理の場では、製品という明確な対象があり、効率的な生産、品質の向上といった明確な目的があります。ここでいう「継続的」とは仕事の対象や目的がある程度定まっていることとほぼ同義と言ってよいと思います。一方で研究開発の場では何もわかっていない状態からスタートすることがしばしばです。研究開発の人間が「PDCAで仕事を進めています」とか言っていたら、「ふーん、PDCAで対処できる程度の仕事なのね」という印象ですね。某大手化学メーカーは就活生である私たちに説明しやすいようにPDCAを持ち出したのだと信じておきましょう。

一方で、研究開発の場で適用できる概念としてOODAループというものがあります。

OODAループ - Wikipedia

会社の研究開発のトップが推奨していたので知りました。PDCAよりよっぽど妥当に思えます。意思決定に重きが置かれているのがポイントで、未知の状況に遭遇したときに人はどのように意思決定していくのかという視点が研究開発にマッチしています。4つもあると忘れてしまうので、私としては普段の仕事では2つだけ意識しています。

1. 科学的手法に基づいて材料を提供する。(= Evidence)

2. 出てきた材料をどう料理するか判断する。(= Judgement)

開発の一担当者としてはEvidence & Judgementだけ外さなければ十分に一人前だと思っています。ただ、特に時間的な制約の大きい企業の開発においては(企業に限らず一般的にそうだと思いますが)、100%自信をもって判断できるだけの材料が揃うことは稀です。そういう意味では、ある程度グレーな状態でも思い切って決断することも必要になってくるのですが、最初からちまちま網羅的に検討を始めたり、証拠が足りないからと過剰に神経質になって判断を遅らせるから、仕事が前に進まないんですよね。上司への不満はだいたいここに集約されるのですが、責任を負う管理職の立場もわかるのでこのデータだけでは判断できないと言われてしまったらある程度は私の実力不足です。程度問題だとは思いますが。油断するとすぐ仕事の愚痴が出てきてしまう…

もう少し視点を広げて開発プロジェクト全体の流れを捉えるとき、EvidenceとJudgementで土台を作って、それを体系化して社内に展開(Systematization)、遵守(Compliance)させれば、ビジネスとして世に出すモノができそうですね。開発プロジェクトの4要素=EJSCです!(センス無さすぎ…)

下らない話はさておき、仕事に対する無力感、停滞感を感じるとき、ちゃんとJudgementしていますか?という風に自分に問いかけるようにしています。ここでいう「判断」は色々なことを包含していて、単に出てきた結果を考察するだけではなくて、例えば、課題に時間をかけて向き合っているかとか、重箱の隅をつついていないかとか、今これをやるくらいなら他の案件のほうが優先じゃないかとか、、、。

どこに重きを置くかは人それぞれです。先述したOODAループの概念にも含まれますが、研究開発においては必ず個性や経験がアウトプットに色濃く反映されます。一言で言うと、研究のセンスが良い悪いとかいう話です。

 

長くなってしまったのでここまでにしましょう。まとめると、研究開発の場ではPDCAはクソ、センスのいい研究者になりたいなの2点です。

おしまい。